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水素自動車が普及しない8つの理由

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「水素はクリーンエネルギー」に騙されるな

あなたは自動車メーカーや大手メディアが吹聴する「燃料電池車は究極のエコカー」などというウソを鵜呑みにしていませんか

確かに水素は水を電気分解することで得られ、また圧縮・液化することで輸送ができるため、エネルギーの貯蔵手段のひとつとしては有望です。

このため電力網の負荷の平準化のために定置型の燃料電池を使ったり、船舶や航空機など特定の経路を往来する輸送機関の燃料に活用したりするのは有効な手段かもしれません。

さらに水素から電力を作る場合は水素と酸素の化学反応によって水が生成されるので、「水しか排出しないクルマ」なんて言われるとなんとなくクリーンなイメージしますよね?

 

ところが水素はクルマのエネルギー源としてはとっても相性が悪いんです。この不都合な真実をご紹介しましょう。

水素自動車の不都合な真実

1.エネルギーコストが高い

水素は技術的には水を電気分解したり鉄鋼や石油の副生成物として得られるので、潤沢なエネルギーとされます。しかし、「技術的に可能であること」と「産業として利用できること」は話は別。

 

水素の製造方法として主流なのは、CNG(圧縮天然ガス)を高温の水蒸気で水素と二酸化炭素に熱分解して製造するというものですが、そこで製造された水素を自動車に供給するインフラは十分に整っていません。

そんな無駄な時間とカネをかけてまで水素を製造・流通させるぐらいなら、CNGを直接燃やして車を走らせたほうが安価でエネルギー効率も優れています。CNGエンジンはすでに実用化されていて技術的にも熟れてますしね。

ちなみにお気づきの方もおられると思いますが、CNGから水素を作る場合はCO2が出ます。「水しか排出しない」はあくまでクルマの話であって、工場からは二酸化炭素がモクモク出ますよ〜。

2.インフラの整備費用が高い

水素燃料電池車に供給される水素ステーションはこれまで存在しなかった設備ですので、新たに整備する必要があります。また、そこに水素を供給するための配送網も必要になります。

また、水素ステーションの新設には1基あたり4〜6億円が必要といわれています。

昨今、日本では既存のガソリンスタンドの維持すらままならず廃業が相次いでいますが、仮にガソリンスタンドと同程度の設備の数を整備しようとすると、数十兆円規模の予算が発生します。

ちなみにこのインフラコスト、誰が負担するかまったく先が見えていません。

 

さすがに自動車メーカーも石油業界も、こんな公共性のカケラもないインフラに国から補助金を出してもらおう、なんてド厚かましいことは考えてないと思いますが。国賊じゃあるまいし、ねぇ・・・。

 

自動車産業というのはグローバルビジネスなので世界中で水素インフラを整備してもらわないと商売にならないんですが、日本よりもガソリン供給網や電力網すら不安定な諸外国がこんなバカに付き合ってくれるとも考えにくいです。

 

3.クルマへの充填に時間がかかる

「水素は3分で充填できる」とかいう記事をときどき目にしますが、あれって大ウソです。

確かに充填自体は3分程度なのですが、水素ステーションは高圧で水素を車両に供給するための予圧や予冷といった「賢者タイム」が必要なので、どんなにがんばっても1時間に6台が限界。

つまり充填に10分以上かかります

岩谷産業ニュースリリース 2015/04/13

水素ステーションはガソリンスタンドやEV充電器に比べると圧倒的に数が少なく設置場所も限られているので、現地に赴く移動時間も考えるとよほどのヒマ人じゃないと使ってられません

4.水素ステーションは災害に弱い

現在、水素ステーションで水素を調達するための代表的な方式は主に以下の2タイプです。

  • オフサイト方式:離れた場所で製造した水素をタンクローリーなどで陸上輸送する
  • オンサイト方式:水の電気分解など、ステーションの設備で水素を製造する

この2つの方式の脆弱性が露呈したのが先の東日本大震災と熊本地震でした。

地震による交通規制や道路の崩落などにより、オフサイト方式の命綱である道路交通網は麻痺状態に陥りました。これはガソリン供給網についても共通する問題なんですが、ガソリンは常温で液体なので携行缶などを使えば人力でも運べるだけまだマシ。

また水道管の破裂や停電などにより、オンサイト方式に必要な水も電気も供給できず。っていうか、災害時はクルマなんかより先に飲み水だよ。

もちろんガスも止まってしまったので、都市ガス改質による水素の製造も絶望的な状況でした。

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ということで、本気で水素社会が実現すると災害時はマジヤバイ。緊急車両すら動けなくなるカタストロフィが待っています。

 

ちなみに電力は福島第一原発の事故による「輪番停電」という特殊な事象はありましたが、被災地を含め他のインフラに比べると概ね復旧は早かったです。

今後、太陽光などの再エネが普及すると地域や家庭などの小規模なグリッドで自給自足できるようになることでしょう。

5.車載タンクのスペース効率が悪い

水素は空間効率が悪く、軽油や天然ガスと同じエネルギー量を積むには巨大なタンクが必要となります。

この点を克服するためにトヨタのMIRAIは700気圧(=71MPa:一般的な高圧水素ボンベの5倍程度の圧力)もの超高圧タンクを搭載していますが、これを自動車用に小さく軽く作るためにCFRPなどの高価な材料が惜しげもなく使われています

 

また二輪車やパーソナルモビリティといった小さな車両には車格や燃費に応じた小さな水素タンクが必要とされますが、小さなタンクに高圧の水素を充填するとボイル・シャルルの法則によりタンク内部の温度が急激に上昇するので、小型車両には水素を冷やしながらチョロチョロ入れる必要があります。

これに関しては水素の物性によるものなので避けようのない現象です。ガンガン電力を使って冷やしながら充填すれば高速化も可能なんでしょうけど・・・。

 

このような水素燃料電池システムの小型化に関する技術的ハードルの高さはおそらくトヨタも懸念していて、同社の「モビリティの棲み分けイメージ」によるとしれっと小型車両はEVにおまかせすることになっています。

出典:トヨタ自動車

 

公式には「EVは航続距離が短いので・・・」という理由付けがされていますが明らかに不自然です。

たかがクルマのためにガソリンスタンドと水素ステーション、EV充電器の3つのインフラが併存する未来ですね。ご都合主義の極致。

完全に頭オカシイです。

6.技術的難易度が高すぎてプレイヤーが増えない

水素燃料電池の安全性を確保しながら、小型・軽量化してクルマに搭載するという技術はとてもハードルの高い技術であり、今のところトヨタとホンダしかモノにできていません。

それゆえ、我が国の自動車産業の次なる競争力の根源になることが期待されているのですが、この技術的難易度の高さが仇となる可能性が極めて濃厚です

トヨタ・ホンダ以外の企業が水素自動車陣営に加わる場合、特許や開発ノウハウ、部品サプライチェーン等あらゆる面でキャッチアップからゲームがスタートとなります。

 

あなたが同じ立場だったら、こんな無理ゲーに参加しますか?

要は敵に塩を送るバカはいないってことです。

7.FCEVはCO2排出量が多い

いまだにこの議論をメディアで目にすることがありますが、もはや決着はついています

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バイオ燃料とかもあるのでCO2削減のソリューションはEV一択とまでは言いませんが、少なくともFCVが出る幕は無い。

 

ちなみに水素エンジンのように水素を直接燃やせば大気中の酸素と結合するため「水しか出ない」という輩がいますが、これもウソです。燃焼時に大気中の窒素が酸化するため窒素酸化物(NOx)が発生します。

NOxは光化学スモッグや酸性雨などの原因であり、またCO2以上の温室効果があることも知られています。

排気中からNOxを除去するにはディーゼル車のようにNOx吸蔵型触媒を利用するなど手法はありますが・・・、ここまで来るともはや水素じゃなくて原料である化石燃料をそのまま燃やしたほうがマシじゃないかという話になってしまいます。

8.水素はエネルギー安全保障上のメリットが小さい

庭先(日本近海)を掘ると水素が出てくるんでしょうかww?

オイルショックや大東亜戦争から何も学んでないんでしょうか??

天然の水素が吹き出している場所を知ってるよーという方は、ぜひtwitterハッシュタグ #EV_Journal  でつぶやいて私に教えてください。

 

まとめ

ということで、水素燃料電池車が普及するなんてありえないことがお分かりいただけたでしょうか。水素燃料電池車は完全に詰みなんです。

自動車会社やメディアのソレらしい言説に惑わされないよう、ご注意ください。

 

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