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池袋暴走事故の再発防止を考える

投稿日:2019年4月23日 更新日:

接触事故後に急加速、気が動転か

東京都豊島区東池袋で乗用車が暴走し10人が死傷した事故で、暴走した車は道路脇のガードポールに接触した後に急加速し、歩行者らがいる横断歩道へ突っ込んだことが21日、捜査関係者への取材で分かった。

Source:日経新聞(2019/04/21

2019年4月22日時点の情報をまとめます。

  1. 事故は2019年4月19日午後0時25分ごろ発生
  2. 暴走車両は左カーブから事故現場となった直線道路に進入
  3. すぐに左側のガードポールと縁石に接触
  4. 停車せずに急加速
  5. 2つの赤信号を無視して約150メートルを直進し、横断歩道にいた歩行者や自転車をはねた
  6. ドライブレコーダーには2.の縁石と接触する直前、同乗していた80代妻の「危ないよ、どうしたの」という声が記録
  7. 5.の自転車の男性をはねた段階で「ああ、どうしたんだろう」と動揺した様子で応じる
  8. 暴走中にハンドル操作はしていない
  9. 事故時は時速100キロ近くで走行。ブレーキ痕は無く運転手は「アクセルが戻らなくなった」と話している
  10. アクセルペダルやブレーキペダルの周辺に、動きを妨げるようなペットボトルなどの障害物は無し
  11. 事故後に停車した際にエアバッグは正常に作動しており、他の機器にも不具合はなかった
  12. 2人が死亡、40~90代の男女8人が重軽傷

池袋の事故は現在捜査中ですので、今回はあくまで一般論として「高齢者の加害交通事故の予防」について考えてみます。

 



高齢者の加害交通事故

高齢者の運転は危険視されますが、実際の統計によるとこんな感じ。

 

確かに高齢者は事故が多いです。

別の統計によると、交通事故の発生件数で見ると16〜19歳がトップなんですが、免許人口10万人あたり死亡事故数で見ると高齢者の事故件数は圧倒的に多くなります。

 

また高齢者の交通事故の形態として特徴的なのが、死亡事故の要因として操作不適、特にブレーキとアクセルの踏み間違いが際立って高いという点。

続いて安全不確認。

判断ミスというのは少ないです。

したがって、高齢者の加害交通事故を防止するには、運転行動の3要素である認知・判断・操作のうち、操作と認知をケアする必要がありそうです。

 

なお、ここでは詳細は述べませんが、認知症の高齢者が第一当事者になる事故の場合、加害者に責任能力が無く被害者が泣き寝入りせざるを得ないケースがあることや、また責任能力があったとしても罪を償う前に亡くなってしまうこともあるなど、被害者に与える心理的影響の点でも若年者の事故とは様相が異なります。

 

高齢者の加害交通事故の再発防止

結論から申し上げると、残念ながら再発防止の特効薬は無さそうです。

 

それぞれの再発防止策について考えてみましょう。

 

免許更新要件の強化

現在の高齢者講習の認知機能検査ってこんな感じらしいです。

いや、コレはさすがに甘すぎるんじゃないでしょうか・・・w

 

もちろん認知症と診断されている人は免許の更新はできないのですが、認知症に一歩手前である軽度認知障害(認知症における物忘れのような記憶障害がでるものの症状はまだ軽く、認知症ではないため自立した生活ができる)だと、この簡単なテストはすり抜けてしまうようです。

 

また認知症は突然スイッチが入るようなものではなく、昨日できていたことが今日はできないなど日時やタイミングによる症状の波があることも知られています。

 

したがって「○歳過ぎたら全員返納」とまでは言わずとも、もう少し更新要件を強化する必要があるのではないでしょうか。

 

予防安全技術の強化

予防安全技術、いわゆるサポカーというやつですが、高齢者の事故に効果がありそうなものがすでに実用化されています。

池袋で事故を起こしたプリウスにもオプション設定されています。

プリウスの例でいうと、サポカー有りと無しでグレードが異なり10〜15万円程度の価格差がありますが、高齢ドライバーには予防安全装備を義務付けることで効果が期待できるのではないでしょうか。

 

ちなみに、政府は2020年までに自動ブレーキの新車乗用車搭載率を9割以上とする目標を掲げています。

水素燃料電池車なんかに1台200万円も補助金つけるぐらいなら、サポカーに補助金つけろよと・・・。

 

MaaSの積極導入

そもそも高齢者は移動手段が無いせいで車に乗らざるを得ないという事情もあったりするので、ライドシェアや自動運転バスを導入して「そもそも高齢者が運転しなくても良い社会にする」というのもひとつの手です。

 

ライドシェアはさっさと解禁しましょう。

高齢者がスマホのアプリを使えるのかとか、ワンチャン狙いで高齢者ターゲットの詐欺をやる奴が出てくるんじゃないかとか、ネガはいろいろ想定されます。

しかし、地方や過疎地域ではタクシーやバスなどがマイカーの代替手段にならない以上、ライドシェアによる「互助」で移動手段の選択肢を増やす必要があります。

 

また、自動運転バスも有望です。

自動運転といっても大それたものじゃなく、ヤマハが全国で実証実験しているやつでも良いと思います。

 

これについても「長年の近所付き合いのしがらみで、同じ車に乗りたがらない住民が少なからずいる」 らしいので、自動運転バスを導入したところでバラ色の未来という話でもないんですが、免許を返納した高齢者の移動難民化を放置するよりはマシ。

 

自動運転車の導入

究極の再発防止は自動運転ですが、現在は技術も法整備も追いついていません。

特に、特定の場所における緊急時の対応も含めてシステムが全てを操作するレベル4に関しては実用化はまだ先。

 

となれば、まずは高度運転支援の延長にあるレベル3の導入が求められます。

ただレベル3は緊急時に人間の操作介入が必要ですが、頼るべき相手が高齢者では不安が伴います。

これに対しては、すでに米国オレゴン州ポートランドのスタートアップ企業designated driver社が自動運転中に万が一のことが起こったときに自律運転車を遠隔運転するドライバーの募集を開始するなど、ビジネスとして展開される兆しがみられます。

この事業は早ければ年内にも運用開始とされる次世代通信規格5G(高速大容量・低遅延・同時多点接続)と組み合わせることで、レベル3の実用化につながるかもしれません。

 

まとめ

ということで、今回は池袋の暴走事故を機に高齢者の加害交通事故の再発防止策についていろいろ考えてみました。

残念ながら「コレ」といった決め手は無いのですが、制度と技術の両面で対策を講じれば痛ましい事故を防ぐことができるかもしれません。

 

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