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EVシフトでVWとGMが大規模リストラ。日本の自動車メーカーは大丈夫?

投稿日:2018年12月23日 更新日:

VW、7千人削減へ

ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネは21日までに、同国自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が電気自動車(EV)の生産に対応するため、今後数年間でドイツの2工場の従業員約7千人を削減する計画だと報じた。

現在合計約2万2千人が働いている北部エムデンとハノーバーの両工場が対象で、エムデンでは2022年から小型のEVなどを、ハノーバーでも同年からバンタイプのEVを生産する見通し。EVはより少ない人数での生産が可能なため、不要になるポストが出るという。

Source: 共同通信(2018/12/22)

 

VWはEVシフトの本格化により、約2万2千人が働いている工場の3分の1がリストラ対象です。

 



GM、1万4千人削減へ

こちらは既報ですが。

米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は26日、米国とカナダの計5工場の生産を停止する計画を発表した。大規模なリストラで2020年末までに60億ドル(約6800億円)を捻出し、電気自動車(EV)や自動運転車の開発に経営資源を振り向ける。米メディアによると、北米全体で1万4千人規模が一時解雇される見通しだ。

Source: 共同通信(2018/11/27)

GMもEVと自動運転車の開発のため、1万4千人がリストラ対象です。

 

対岸の火事?んなわけないでしょw

これからVWとGMは大規模なリストラに踏み切るわけですが、同じことは日本の自動車メーカーでも起こるのでしょうか?

結論からいうと、EVシフトによる再編は日本でも起きる可能性があります。

 

その理由は、日米欧の自動車メーカーは以下の3点がよく似ているから。

  1. 自動車産業の業界構造
  2. 主要マーケット
  3. 製造拠点の収益構造

自動車産業の業界構造

自動車産業は俗にいう「ピラミッド型」の業界構造をしています。

これはピラミッドの頂点にトヨタや日産などの完成車メーカーが君臨していて、その下にTier1、Tier2・・・と部品メーカーが階層構造をなして連なっている、というもの。

 

このような階層型の分業体制は多品種部品のコストや品質を管理するうえで有利な形態であるため、とりわけエンジンのような複雑なコンポーネントを製造するうえで大きな威力を発揮しました。

ところがエンジン車から電気自動車になり部品点数が劇的に少なくなると、これまでピラミッドの頂点で部品の品質管理やすり合わせなどを取り仕切ってきた自動車メーカー側にはスリム化が迫られます。

 

この構造はなにも日本だけが特別というわけではなく、ヨーロッパもアメリカも似たようなものなので、VWやGMで起きたことは日本でも起きる可能性はあるでしょう。

 

主要マーケット

各社の主要マーケットにも共通点があります。

Source: 京都大学経済学部資料

 

大規模リストラが迫られているVWとGMはともに、売上高に占める北米と欧州の比重が大きいという特徴があります。

北米の乗用車市場ではテスラがじわじわと台数を伸ばしていますし、EUはエンジン車に対して事実上の死刑宣告を突きつけています。

 

各社とも財務体質が違うので一概にはいえませんが、日産やホンダも北米や欧州への売上依存度が高いというのはVWやGMと同様の傾向です。

 

製造拠点の収益構造

自動車に限らず、一般的に製造業のコスト構造は固定費と変動費に分類されます。

 

固定費は設備の減価償却費や人件費など、生産量に関わらず発生するコスト、変動費は材料費や燃料費、消耗品費など、生産量に応じて発生するコストです。

これらは一見すると異なる性質のものであるように見えますが、ほとんどのものが源流までさかのぼると人件費に行き着きます。

 

例えば工作機械を設備の減価償却費として計上する場合、その工作機械のコストをさかのぼれば人件費が含まれています。

さらに工作機械を構成するネジ1本であっても、さかのぼれば人件費にたどり着きます。

そして各社とも為替や関税などのリスクをヘッジするため、現地で需要のある車種は基本的に現地で生産する傾向があります。

 

メーカーごとに海外生産比率や財務体質は異なりますのでいささか乱暴な見方である点はご承知いただきたいですが、VWやGMと日本の自動車メーカーはヨーロッパやアメリカの製造拠点・コスト体質・車種に類似点がみられます。

したがって、VWやGMでリストラが行われるということは、日本メーカーにもその必要性が生じる可能性があるのです。

 

まとめ

海外ではEVシフトによる業界再編というホラーシナリオが現実のものとなりつつあります。

 

今年も日本では春闘とかいうプロレスが始まりますが、例によってベアアップなど目先の議論に明け暮れて、このホラーシナリオに関しては論ずることすらできないでしょう。

 

日本には自動車メーカーがたくさんありますので、事態が動き出すと転職市場はあっという間に供給過多になることは間違いないです。

少しでも先行きの不透明感や危機感を感じるなら、転職の準備をしておきましょう。

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