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ソーラーパネルを車体全面に組み込んだ電気自動車発売へ

投稿日:2018年8月18日 更新日:

太陽光発電で走る電気自動車発売へ

太陽光で発電をしながら走る電気自動車。ソーラー発電と電気自動車について知った子どもなら誰でも一度は「じゃあ組み合わせたらいいじゃない」と思ったことがあるはず。そんな気軽な発想も、もちろん実現するのには複雑なテクノロジーやコストといった問題があってこれまで実現はしてきませんでした。しかし、しかしです。

ドイツのスタートアップ企業であるSono Motorsがなんと太陽光発電で(追加的に)充電する電気自動車を来年発売すると発表したのです。価格は280万円ほどになるとのこと。

Source: GIZMODE

 



ソーラーパネルを車体に埋め込んだ理由は・・・

ソーラーパネルを車体に埋め込んだクルマを発売する目処が立った可能はなんと、ソーラーパネルのほうが車体を塗装するよりも安いということ。

マジか!

確かに太陽光発電のコストは急速に下落していて、近年、海外などではエコやクリーンという綺麗事ではなく、経済的に合理的だから太陽光発電を導入するという動きが進んでいます。

世界の主要国における発電コスト*の比較 (2017上期)

Source: BUSINESS INSIDER

とはいえ、いくらソーラーパネルが安くなっているといっても、塗装された鋼板プレスのボディに比肩するほどコストダウンは進んでいないものと思われます。

この点はソース記事のGIZMODEさんのほうでも 「ホントかよ?」という論調ですが、私はあり得る話ではないかとみています。

 

その理由は6,500台という生産予定台数とボディの材質。

 

一般的に自動車の鋼板製ボディやドアパネルなどの成型には3000〜5000トン級クラスのプレス加工機が使用されます。

こうした工作機械の価格はピンキリですが、1台導入すれば加工機・設置・金型・治工具類を含めて10億円程度の投資が発生するものとみられます。さらに溶接機や塗装ラインなど後工程まで考えると、まあボディ関連の生産設備を整えるだけで20億円程度の投資はくだらないでしょう。

自動車ボディパネル成形用サーボプレスライン

これを6,500台という生産台数で割ると、ボディ関連の減価償却費だけで1台あたり30万円程度の費用が発生します。

200万円のクルマなのに、車両そのものの部品原価とは別に設備の減価償却だけで30万円も発生してしまうのは致命的です。

 

一方で、Sono Motorsのプレスリリースにあるとおり、ボディをポリカーボネートにするとどうなるでしょうか。

一般的に薄物ポリカーボネートの成型には真空成形機が使われます。

大型真空成形機

真空成形は極端な話、金型と真空ポンプだけでなんとかなります。また、ポリカーボネートは無塗装で表面処理も不要なので、おそらく設備投資は1億円にも満たないでしょう。

 

これを6,500台という生産台数で割ると、ボディ関連の減価償却費だけで1台あたり1万5000円程度の費用が発生します。

200万円のクルマで、ボディ関連で1万5000円の減価償却費であれば十分アリな水準でしょう。

 

部品代だけで考えるとポリカーボネート+ソーラーパネルの組み合わせはハイテン材よりも高くなると思いますが、設備投資の抑制分を車体コストの原資に充てているはずです。

 

このように樹脂ボディにソーラーパネルを埋め込むというアイデアは、6,500台という絶妙な製造台数だからこそ実現できる仕様であると推察されます。

仮に普通のクルマのように数十万〜数百万台という生産規模であれば、ポリカーボネート+ソーラーパネルという部品代の高さが仇となり、普通にハイテン材のボディにしといたほうが安いという結論になるはずです。

 

ちなみにこのようにクルマの生産数に応じて製造方法を変えるのは特に珍しい話ではありません。

例えばGLMのトミーカイラZZなどはFRPボディ+アルミ押出材フレームとすることで、大掛かりな工作機械や金型を使わなくてもある程度の台数であれば量産できる仕様になっています。

 

諸元まとめ

ということでSono MotorsのSionについて、プレスリリースをベースに分かっている諸元をまとめます。

 

車体サイズ

みなさんおなじみの日産リーフと比べるとサイズ感がわかりやすいでしょうか。

車幅はリーフと同じぐらい、車高はリーフよりも140mm高くて、全長はリーフよりも370mm短いです。

ちょっとずんぐりした感じのスタイリングですね。

価格

車両価格はバッテリーを除いて16,000ユーロ(約202万円)、バッテリーはリースと購入が選択できて、購入の場合は4,000ユーロ(約51万円)です。

したがってバッテリー込みの車両価格は20,000ユーロ(約253万円)。

日産リーフがヨーロッパで30,000ユーロ(約380万円)程度であることを考えると、ずいぶんお手頃価格ですね。

 

主要諸元

スペックをまとめます。カッコ内は日産リーフの数値です。

  • 最小回転半径:5.5m未満
  • サスペンション:マクファーソン・ストラット方式
  • 最高速度:140km/h
  • 0-100km/h加速:約9秒
  • 電力消費率:14kWh/100km(12kWh/100km)
  • 航続距離:250km走行モード不明 (NEDC378km)
  • 最大出力:80kW (110kW)
  • 最大トルク:250N・m(320N・m)
  • バッテリー容量:35–45 kWh(40kWh)
  • 車体重量:1,400kg(1,490kg)
  • 充電方式:SchuKo /  Type 2 / CCS (普通充電 / CHAdeMO)
  • 80%充電時間:30分(40分)
  • ソーラーパネル:viSonoシステム - 最大1,204W - 効率24% - 330セル

基本性能はリーフといい勝負といったところでしょうか。

特筆すべきはソーラーパネルによる充電機能ですね。もちろん天候や季節によって変動しますが、放ったらかしとくだけでバッテリーが復活するのは嬉しい機能ですね。

 

BMWとの関係

ちょっとSionの写真を見ていて気になったのが、BMWとの関係です。

これはハンドル周りに同じ部品を使ってますね。メーターディスプレイも酷似。

たまたま部品の調達先が同じなのか、i3をベースに試作車を仕立てたのか、はたまたBMWの関係者がSono Motorsに流れているのか・・・。

 

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Sono Motors公式WEBサイト



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