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3Dプリンタ製の電気自動車「LSEV」

投稿日:2018年3月28日 更新日:

3Dプリンタ製の電気自動車、量産開始へ

3Dプリント用素材を手がける中国企業のPolymakerは、ボディなどを3Dプリンタで成形する電気自動車「LSEV」をイタリアのEVメーカー、X Electrical Vehicle(XEV)と共同で量産すると発表した。量産開始は2019年第2四半期の予定だが、すでに7000台の注文が入っているという。

Source: Yahoo!ニュース

3Dプリンタは金型に比べると材料が高価で成型に時間がかかる一方、初期投資が安く抑えられるという特徴があるので、試作品やカスタムパーツなどの少ロット生産には向いています。

自動車の外装や構造部材を3Dプリンタで作った場合と金型で作った場合の損益分岐点がどこに来るかわかりませんが、数十〜数百台程度だと3Dプリンタのほうが安くなるはず。

数万台〜数十万台の規模になると間違いなく金型のほうが有利でしょうけど、LSEVの数千台っていうのは微妙なラインですね。

市場の注目は集めたいけど過剰なオーダーは避けたい、というのが本音かもしれません。



7500ドルという売価はすごい

製法はともかくL7eクラスで7500ドル(約79万円)という売価はかなり頑張っている印象です。

同じ超小型モビリティクラスの車格であるFOMMの「ONE」が60万バーツ(約225万円)ということを考えると、LSEVはすごくリーズナブル。っていうかFOMM高すぎ。

3Dプリンタ騒がれすぎ問題

モノづくり革命を世に知らしめ2012年に大ヒットしたMAKERSを読むと、3Dプリンタはあたかも魔法の道具であるかのような錯覚を覚えますが、現実には数ある工作機械のひとつであり、当然のことながら得手不得手があります。

3Dプリンタの得意なこと

  • 金型が不要なので初期投資が安い
  • 金型では成形できないアンダーカットや袋形状など、複雑なカタチのものでも成形できる
  • 初期投資や専用設備の導入が不要なので、小ロット生産では安くて早い
  • 熱によるヒケや歪みが生じにくい

3Dプリンタが苦手なこと

  • 材料の選択肢が少ない
  • 寸法精度が低い
  • 表面粗さが悪く内部に巣が生ずることがあるので、気密性が求められる部位には使用できない
  • 加工時間が長く材料費が高いので、大量生産に不向き
  • 大量生産できないので、設計コストが占める割合が高くなる
  • 金属の塑性加工ができないので、強度が調整できない
  • アンダーカット形状にはサポート材が付くので、後処理に手間がかかる

ということで、3Dプリンタはこれまでの工作機械には無い優れた特徴はあるものの、魔法の道具ではないんです。

イノベーションに取り残される日本

LSEVの車両サイズは欧州のL7e、日本では超小型モビリティに相当します。

ご存知のとおり日本の超小型モビリティはさんざん実証実験をやった挙句、導入に向けた事業が暗礁に乗り上げてしまっているため今後の目処が立っていません。

超小型モビリティ、このままでは市場立ち上がらず

一方、ヨーロッパや中国ではこのクラスの車両はすでに実用化されています。

また、EV産業の育成を国家戦略に掲げてきた中国では、クルマのデキが悪くてもお構いなしにガンガン量産してきたことで急速に力がついてきており、ついに独自規格による優位性の確立に動き出しました。

まさに拙速は遅巧に勝る。

規制緩和や過剰な品質・性能の追求に時間をかけた結果、またも日本はイノベーションに取り残されてしまうのでしょうか。



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