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大変革の自動車業界をどう生きるか(その1)

投稿日:2018年3月10日 更新日:

落合陽一って誰?

まずは今回の主役、落合陽一氏をご存じない方のためにご紹介。

1987年生まれ。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学学長補佐・准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤基盤長、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。ピクシーダストテクノロジーズCEO。現在は、DMM オンラインサロンにて「落合陽一の解体魔術講座」開設中。

本人が提唱する「デジタルネイチャー」という価値観に基づいたメディアアート作品を研究及び制作。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせた視覚的・触覚的作品やデジタル装置を用いてアナログな実体を駆動する研究で知られる。

別名は「現代の魔法使い」。レトルトカレーをストローで食べる。平均睡眠時間4時間。

父は小説家の落合信彦。

ちなみに、1月に発売された落合氏の新刊は日本再興戦略はAmazonのベストセラーになってます。興味ある人はぜひフォローしてみてください。日本の未来に希望が持てる本ですよ!

落合陽一氏、自動車業界を語る

Web専門ニュースチャンネル「ホウドウキョク」(2月28日配信)で落合陽一氏が自動車業界について熱く語っていますので、その内容を紹介します。

音声を書き起こしていますが、聞き取れないところや分かりにくいところは編集してますので、一次ソースを確認したい人は動画をご確認ください(著作権はホウドウキョクに帰属します)。

『大変革の自動車業界をどう生きるか』

EV化で無くなる分野

佐々木:EV化の流れで一番大きいのはエンジンが無くなるということですか?

落合:トランスミッションもそうでしょう、熱交換系の部品とかも。エアコンは多分大丈夫だと思うけど、エンジン周りの部品の組立てというのは精度が求められるので我々の稼ぎ頭になっているんだけど、そこに基軸を置いている会社はけっこう大変。具体的に言うとアイシンとか。

佐々木:あぁ、そこら辺の会社ですね。

落合:アイシンはアイシンでエーダブ(アイシンAW)に分社化しているけど・・・。

佐々木:アイシンに就職しないほうがいいですか?

落合:いや、そんなことはない。

一同笑い

落合:それ言ったらトヨタ村のアイシン・デンソー・トヨタは全部就職しないほうがいいって話になっちゃう。

佐々木:怒られますよ(笑)

落合:ホント◯されますよ(笑)でもポイントなのは、そのぶん若い人にビジネスチャンスがあると思いますよ。いま新規事業の模索をひたすらやってるわけだから結構おもしろい。それに(会社が)急に無くなるわけじゃないから、ちょうど危機意識がある企業が今ポイントなんじゃないかなとは思います。

佐々木:確かに、危機があるから就職しないほうがいいって話でもない。

落合:デンソーだって半導体系は縮小したりしてる。そのリソースをソフトウェア側にふらないといけないなというのはわかっていながら、まだまだエアコンなんかの熱交換事業が3割ぐらいの売上がある。それに対するアプローチが何か無いかって常に模索しているわけで。そういったことを考えるうえで、今の自動車業界は若い人に期待しているのかなという気がします。

佐々木:タバコ業界とかとも、似たところがあるかもしれないですね。

落合:タバコは利益率が非常に高いからいいんですけど、「禁煙だ禁煙だ」といってちょっと縮小気味。どれだけ生活の豊かさに寄与できる物を作れるかっていうのが重要なんだけど、(タバコと)同じことをガソリン自動車で同じこと言われたら大変ですよね。「排気ガスを撒いている奴らがいます、こんなに空気を汚しています」と。それで今のタバコみたいになったら悲しいなと思います。

佐々木:カリフォルニアとかそんな感じになりつつあるのでは?

落合:かもしれないです。もうムードの問題なので。

(中略)

EV化は一気に進む

佐々木:世界のEV化はどれぐらいの速度や規模感で進むと思いますか?

落合:EV化は一気に進むと思う。なぜかというと、作るのがラク。部品点数を見ても明らか。今までそういうことをやってこなかった会社でも作れる。だって、部品点数ヤバくないですかコレ?この差。

佐々木:スゴい。

落合:だって100〜1000と18ですよ。あとはバッテリーがあれば動く。そしたらほぼスマホなんですよ。スマホにモーターが付いたのがEVなんです、本質は。そうするとスマホって中華スマホが死ぬほどあるじゃないですか。ああいう感じになりますよ。

佐々木:一方で自動車会社の方は、EVってそんなに作るのは簡単じゃないって言うじゃないですか。難しいって言う方もかなり多いんですけど、それって違うんですか?「スマホと一緒にしてくれるな」という意見はけっこう多い。

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落合:それは品証(品質保証)の話をしているんだと思います。

佐々木:あー、そうか。作れるかどうかと品質保証できるかどうかは・・・。

EVを作るのは簡単だが品質保証は難しい

落合:モータ付きのパーソナルビークルはすぐ作れる。だけどクルマがなぜ簡単に作れないかというと、品質保証ができなからです。だけど品証が関係ない国なんていっぱいある。

佐々木:先進国よりも発展途上国のほうがEVは広がりやすい?

落合:発展途上国だと「走って事故ってるけど、まあいいか」みたいなものはありそう。人口増加国ではそこでトライアンドエラーを繰り返すことができるから、そのうち「別に先進国からクルマ買わなくていいじゃん」っていうノリになりそう。

ハイブリッドへの風当たりは強い

佐々木:ハイブリッドが本命ではないかと言ってる人もいましたけど、ハイブリッドも暗雲が漂ってるって感じですか?

落合:暗雲は漂ってないと思いますけどね。過渡期なんで。

落合:ただハイブリッドは排ガス出るからね。エコカーを推進していくと日本のクルマを省くことができるなんて、非常にズルいよね。

ルールは変わる、トヨタも変わる

佐々木:欧州・米国・中国はゲームルールを変えようとしているということですね。その中でもトヨタは変わりつつあるというか、豊田章男さんなんかも危機感を吐露しているんですけども、トヨタの変化って感じます?

落合:なんか・・・、7年間でずいぶん言ってることが変わりました(笑)

佐々木:今年の1月のCESで本当にトップ自ら言ってるわけですけど、どうですか?トヨタに変化は感じます?

落合:感じますよ。ただ俺はCESのコンセプトモデルはあんまりおもしろくなかったけどね。

佐々木:e-Palletteですか?これプラットフォーム化をめざすっていうコンセプトでしたよね?なんでおもしろくないんですか?

落合:だって見た目だけ見ればローカルモーターズがIBMと一緒にやった、3Dプリンタで作ってるバスとすごく似ている。ああいう感じにする気持ちはすごくよく分かるんだけど。

落合:ローカルモーターズの良いところは、3Dプリンタで作ることによってコストと部品点数が1/4ぐらい・・・1/8かな?になったのが良かったのであって、トヨタがやることじゃないと思うんだよな。

佐々木:プラットフォームを目指すっていう方向性はいいんですか?

落合:プラットフォームという方向性は良いと思います。結局、日本の企業って品質保証だけやってりゃいいんじゃないかなって思うんですけどね。中身は自分で作る必要は無いから、どんどん中国でつくればいいと思うんですけど。でもそういう結論は出ないんだろうなっていうのは、中にいると思います※。

(※落合氏はトヨタと共同研究をやっています)

品質保証こそが日本の生きる道

佐々木:品質保証が一番のコアなところになるんですか?

落合:そうです!

佐々木:そこが一番付加価値が高くて「食えるところ」なんですか?

落合:そこが付加価値が高いです。誰が品質保証をするのか 。例えば車を新しくするには5年ぐらいかかるんですけど、そのプロセスを回せるのはトヨタぐらいのノウハウを積んだ会社じゃないとなかなかやりにくいよね、っていうのは確かにそうです。適当に作ったEVを適当に走らせるだけだったら適当にできるけど、適当にやったやつでお客さんが死んだらどうするんですかって時にどうもしません、でいい国ならいいけれど、それ以外の国は品質保証が肝だと思います。

落合:それで品質保証のコストのことを考えてOEM(他社ブランドの製品を製造すること)ができるとしたら、トヨタとかなんじゃないかなと思います。

佐々木:「品質保証プラットフォームカンパニー」みたいに、他社の車の品質保証もするみたいな?

落合:そうするしかないんじゃないかなと、思いますけど。

佐々木:それはおもしろいアイデアですね。

落合:だってトヨタが保証した車なら乗りたいじゃないですか。

佐々木:そうですね。しかも何か起きてもすぐ修理してくれたり保証してくれたりとか、全部やってくれるわけですよね。

クルマ好きが判断するとクルマを作っちゃう

落合:クルマそのものが見えるビジネスではない方向に業態を転換したほうがいいんじゃないかと思ってるんですけどね。

佐々木:でもみんな「クルマ好き」でしょ?

落合:そう。たぶん「クルマ好き」が判断すると「クルマ」を作るのよ。

佐々木:そりゃそうですよね。

落合:だけど「クルマ好き」じゃない人がクルマを見れば、きっとクルマってクルマじゃないんだなってもうそろそろ分かってきてる

佐々木:確かに。けどそれは難しい気がするな。

(中略)

落合:例えばゼネコンはビルを建ててるけど、ゼネコンのビルではないじゃないですか。だけど、トヨタは車作っててトヨタのロゴが付いてるじゃないですか。これは大きな違いです。だからお客さんのために何かを製造するという行為のうち、品証やプラットフォームデザインみたいなものを供給するというメタサービスの方向にいかないと、たぶんダメなんじゃないかなと思ってます。個人の見解ですが。

佐々木:これは自動車会社の人に言ったことあります?

落合:ありますけどね・・・、

佐々木:反応どうです?

落合:・・・わかってくれない。

佐々木:(笑)

落合:いやいや、わかってくれることももちろんありますよ。いま一緒に仕事しているところはよくわかってくれていて、逆にカーサービスにをやるためのプラットフォーム化をどうやってやるかっていうところにウチの会社の技術を入れてもらったり、一緒に事業開発したりはさせていただいているわけなんですけども。あと、なんか機材を提供していただいたりとか、そういうのはあるんですけど。なんかそれを見て僕らが思うところっていうのは、やっぱりメタサービスの方向に行かないとダメということですよね。

その2に続く)

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