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ニュル最速とか0-100km何秒とか、もう飽きた

投稿日:2017年12月23日 更新日:

EVの加速が優れている理由

自動車が加速するとき、スタートダッシュにはタイヤには大きな駆動力が必要とされますが、スピードが乗ってくるにつれて駆動力よりも高い回転数が必要とされます。

これは人間が走るときと同じで、スタート時は膝をしっかり曲げて地面を踏み切りますが、スピードに乗ってくると速く足を動かすことが必要とされるのと同じです。

 

このように自動車は低速ほど大きな駆動力を必要とします。

一方でパワーユニットが発生するトルクは、エンジンは高速側にピークをもつ山なりの特性となっていて、電動モーターは低速側にピークをもつ右肩下がりの特性となっています。

 

このため、エンジンはギヤボックスを多段化することでトルクピークの山から山を連続的につないで、低速側で大きな駆動力を得る構造になっています。

ところがモーターはそもそも単独で低速側で大きなトルクを発生することができるので、電気自動車は基本的にギヤが1速あれば車体側が求める駆動力を得ることができます。

 

またモーターはエンジンよりも応答速度が速く、入出力のパラメーターも少ないので制御しやすいという特徴があります。

 

したがって誤解を恐れずに言えば、技術レベルが低いメーカーであってもEVであれば驚異的な加速性能を実現することが可能です。

 



テスラが加速性能をエンターテイメント化した

このモーターの加速性能に目をつけたのがテスラ。

Tesla Model S P100Dには、ルーディクラス・モード(Ludicrous:「ばかげた」という意味)というものが用意されています。

 

これをポチッと切り替えると、0-100km/hが約2.8秒という加速性能を体感することが可能になります。

 

このタイムは日産の「GT-R NISMO」と同等レベル。

そんな非日常的なレーシングスペックの性能がボタンひとつ(テスラはボタンじゃないけど)で体験できるということで、EVの加速性能はエンジン車には無い商品魅力として定着しました。

 

かくしてレーシングスペックはコモディティ化した

そんなテスラの成功をうけて、後発で「高級EV」を自称するモデルは猫も杓子も加速性能をアピールするようになりました。

 

その結果がこの有り様です。

・・・どうですか?みなさん興味あります?

 

私はハッキリ言って食傷気味で、いちいちこのブログで取り上げる気にもなりません。

 

ええ、たしかに私もテスラ・モデルSのルーディクラスモードで0-100km/h 2.8秒の加速を体感した時は興奮しましたよ、こりゃスゲエ!ってね。

 

でも、ここ最近はバカのひとつ覚えみたいに動力性能をアピールするものばかりなので飽きました

 

そもそも0-100kmが2秒台の加速やニュルのラップタイム競うような限界性能なんて公道で扱いきれないし、運転手も同乗者も楽しいのは最初だけ。

 

そりゃ速いに越したことないけど、もうEVの超絶加速性能はコモディティ化してるんですよ。

EVの加速性能がエンターテイメントとして成立することを知らしめたテスラは称えられるべきだけど、大手はまだしも個性こそ命のベンチャーがテスラと同じ土俵で勝負しちゃダメです。

 

EV1.0の時代

昨今のEVブームの先駆けは、2009年に発売された三菱i-MiEVと、2010年に発売された日産リーフに端を発します。

この頃は「EVはエコであることが至上!」という世界観でした。

 

この時代のEVは価格のわりには航続距離が短く、エアコン使うのも峠を越すのもドキドキするようなシロモノで、乗っている人は相当な変わり者。言うなれば真面目なイロモノでした。

私はこの時代のEVを勝手にEV1.0と呼んでいます。

 

しかしこの真面目なイロモノ全盛の時代にあっても、EVの加速性能やレスポンスにスポーツカーとしてのポテンシャルを感じている人は少なくありませんでした。

おそらく日産や三菱の中の人もそのことには気づいていたのでしょうけど、時代が許さなかったのだと思います。

 

EV2.0の時代

三菱や日産がEV1.0で立ち止まっている頃、2012年には米テスラからモデルSが発売されました。

これはパラダイム・シフトでしたね。

 

EVは「エコオタクが我慢しながら乗る高くて不便なクルマ」から、「意識の高いお金持ちが不自由なく走りと先進技術を楽しむクルマ」に世界観が変わりました。

洗練されたデザイン、十分な航続距離、高い走行性能、そしてガジェット満載。

 

私はこれ系のEVを勝手にEV2.0と呼んでいます。

 

テスラの快進撃を目の当たりにして、二匹目のドジョウを狙うスタートアップがうじゃうじゃ現れました。

また、大手自動車メーカーもしばらく静観していましたが、いよいよアウディ、VW、ベンツ、ポルシェなどがこの路線でのEV参入を表明することとなました。

現在の主戦場はこのジャンルになります。

 

 

しかしモデルSが世に出てから5年余り。未だにテスラの焼き直しみたいなコンセプトばっかり。

ハッキリ言ってわしゃもう飽きた!

 

EV3.0の時代へ

現在、各メーカーが自動運転の実用化に向けて開発を急いでいます。

 

自動運転が実現すれば、ドライビング・プレジャーやモノとしての価値の重要性は低下することでしょう。

 

そうなればクルマは単に人が移動するためのハードとしてコンセプトや性能を競うものから、社会システムやインフラの中で価値やサービスを生み出すMaaX(Mobility as a X)という路線にシフトしていくものと思われます。

 

まさに日産・東電によるEVのVPP化なんかは発電所としての価値、すなわちMaaP(Mobility as a Powerplant)を実現するものですよね。

 

私はこのような概念を勝手にEV3.0と呼んでいます。

 

こうやって視野を広げると、EVをプラットフォームとしたビジネスは大きな可能性があると思います。

でもEV3.0という社会を巻き込む壮大なビジョンを描くのは小さい会社じゃとても無理。

 

最近トヨタがEV化に遅れをとっているなんて記事を目にすることがありますが、かつての自前主義から脱却して協業が活発化しています。この点は日産もホンダも同じ。

 

だからこそトヨトミの野望で描かれたように葛藤しながらも変革に挑み続ける日本の自動車メーカーには期待しているんです。



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