ドイツ発、ソーラー充電で走れる電気自動車「Sion」

エンジンでガソリンを燃料する車と比べると、走行中に排気ガスを排出しないため環境に優しい電気自動車ですが、その充電には急速充電でもおよそ30分、普通充電では8~11時間ほどかかってしまうのが現状です。

ところが、そんな常識を覆す新しい電気自動車がドイツで開発中とのこと。その名も「Sion」、ドイツのベンチャー企業である「Sono Motors」が産み出した、太陽光による充電が可能な電気自動車です。

太陽電池を利用したEVというと、ついソーラーカーレースに出場するような平べったい車体の上にパネルを敷き詰めたクルマを想像してしまう。

このため、Sono社のEVのように普通のクルマのルーフやボンネットフードにパネルを貼り付けただけのようなものが出てくると、確かに実現すると革命的だよねなんて思う一方、どうしても乗用車としての性能は大丈夫なのだろうか?とか、どうせ金だけ集めてバックレるんじゃないの?なんて懐疑的な気持ちにもなってしまう。

現在、Sono motorsのWEBサイトを見る限り、走行可能な試作車などは存在しておらず、ググるといろいろ画像は出てくるが全てCGのようだ(走行シーンの動画はあるが、擬装やライセンスプレートなどが無いのでこれもCGであると思われる)。

これ系のクルマを実現する上で鍵になるのは、ソーラーパネルの発電量と走行に必要な電力のエネルギー収支に尽きるだろう。

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Sono社はその太陽光発電システムをviSonoと名付けており、同社のWEBサイトによると、車体に貼り付けられた太陽光パネルの面積は7.5m2で、1日で30kmもの走行が可能な電力を補うことができるという。


さて、本当に太陽光だけで30kmも走れるのか。ざっくり検証してみよう。

ソーラーパネルの出力は設置条件や季節、温度などによって異なるが、2016年現在の家庭用のソーラーパネルの単位面積あたりの容量は0.2kW/m2ぐらいが相場のようだ。

これをSionのパネル面積7.5m2に換算すると、太陽電池容量は1.7kW。

京セラのWEBサイトによるとソーラーパネルの一日の発電電力量は

発電電力量(kWh/day)=日射量 × 太陽電池容量(kW) × 温度補正係数 ×設置方式による温度上昇への影響係数 ×その他損失 × 影の影響による損失係数 × 昇圧ユニット変換効率 ×パワーコンディショナの変換効率

となるようだ。そこで、

日射量:3.67kWh/m2/day   (東京・真南)
太陽電池容量:1.7kW
温度補正係数:0.9 (冬季)
設置方式の影響係数:1.0 (屋根設置)
その他損失:0.95 (配線、受光面の汚れなど)
影による損失:1.0 (日陰にはならないと仮定)
昇圧ユニット効率:1.0 (損失無しと仮定)
パワーコンディショナ効率:0.95(家庭用ソーラーパネルの数値で代替)

として計算すると、発電電力量は5.06kWh/dayとなる。

仮に日産リーフの電力消費率114Wh/km(JC08)で走行できるとすると、走行距離は5.06 ÷ 0.114 = 44.4kmとなる。


んんっ!?

上記の試算はかなり甘い条件とはいえ、Sion社が掲げている「太陽光だけで30km」というのは、条件さえ整えばあながちあり得ない話では無いのかもしれない。

少なくとも炎天下での駐車中にエアコンを作動させて予め車内を快適な温度にしておくぐらいは可能であろう。