EV業界の2016を振り返る

2016年、EV業界には様々な出来事がありました。今年も残すところあと数時間となった大晦日の夜、一年間のトピックを振り返ってみようと思います。


Tesla Model 3予約開始から数日でリーフ超え

まずはコレ。

いや、もうこれは驚きましたよ!予約開始から数日で日産リーフの累計生産台数をあっさり抜き去っちゃうんだもん。

結局、予約開始後3週間で約40万台を受注したというところまで報じられていました。

このことは、たとえ技術的なブレイクスルーが無くても、巧みなプロモーションと人目を引くデザインがあれば、EVもヒットする可能性があることを示す出来事となりました。

なお、モデル3の生産開始は2017年末、日本での納車は未定とのことである。

ポスト・テスラが続々

テスラの快進撃の傍らで、ポスト・テスラをうかがう新興メーカーの動きが活発な一年でもありました。

まずはこのところ、工場建設費用の支払いトラブルが報じられているファラデーフューチャー。資金繰りに一抹の不安はあるものの、今年は量産工場の起工、Formula E参戦、試作車の公道走行など、話題に事欠かない一年となりました。

謎のコンセプトカー公開からちょうど1年後となる2017年1月のCESでは、いよいよ量産モデルの発表を控えています。

アティエヴァ改め、ルーシッド・モーターズも同社初となるコンセプトカーを公開しました。

最高出力1,000馬力、航続距離400マイル(約640km)、0〜60mph(0-96km/h)は2.5秒以下と、テスラのフラッグシップであるモデルS P100Dをも凌ぐ圧巻の性能を誇ることで注目を集めました。

サーキット走行のショットが捉えられたNext EVのNIO。

11月、同社はパイクスピークのレーシングカーばりの最高出力1360馬力を誇るコンセプトカーをロンドンで公開しました。

同社に関する情報は限られているが、ハリボテではなく曲がりなりにも実走可能な車両が存在するということで、続報が待たれるところだ。

かつてPHEVのベンチャー企業で経営破綻に追い込まれたヘンリック・フィスカー氏が立ち上げた新たなEVプロジェクトからもデザインが公開された。

こちらはまだ車両は製作されていないようだが、数々の自動車メーカーを歴任した百戦錬磨のフィスカー氏率いるプロジェクトだけに、今後の動向も目が離せない。

いずれも、大量にバッテリーを搭載し、必要十分な航続距離をブッ飛んだ動力性能、そしてラグジュアリーカーを志向している点で共通している。これらをまとめて、コーヒー業界で言うサードウェーヴみたいな気の利いた呼び名があれば良いのが。

他にもアップル、GLM、ニコラ、パナソニック、ダイソン、DHLなど、異業種からスタートアップまで様々な企業がEV業界を賑わしたことも忘れてはならない。

果たしてこれはバブルか新時代の幕開けか。EVを取り巻く業界の動きは明らかに潮目が変わったように感じる一年だった。

トヨタのEVシフト

各種メディアや経済誌が報じているとおり、いよいよトヨタのEVシフトが鮮明となった。

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振り返れば、マツダとのEV共同開発に始まり、2020年までのEV参入表明、EV開発を担う社内ベンチャーの設立(他にもあったような気がするけど忘れた)など、まるで予め準備されたシナリオに従うかように次々とEVに注力する動きを見せた。

トヨタから世界初の量産型燃料電池自動車のミライが発売されたのは2014年末。

それから約2年、世の中の風向きが明らかに変わりつつあることを敏感に感じているのは、他ならぬトヨタ自身なのかもしれない。

電動バイク胎動

四輪に比べて電動化が遅れている二輪業界であるが、昨年から今年にかけて各メーカーから市販化に向けた具体的な動きがちらほら現れるようになった。

BMWモトラッドによれば、来たる2017年はいよいよ電動マキシスクーター・C-evloutionが国内市場にお目見えとなりそうだ。

迎え撃つ日本のホンダは、2018年にも電動スーパーカブの市場投入を目指しているとされる。日本のみならず海外のモーターショーでも出品され、今回はリース販売ではなく本気の量産モデルとなる期待が高まっている。

あと、UPQからは”UPQ Bike”が発売されました。

このモデルそのものについてはいろいろ賛否あろうと思うが、新規参入のメーカーが短期間で市販モデルを仕上げてきたという点においては高く評価されるべきであろう。

四輪に続いて二輪業界でも、EV化の波は確実に近づきつつある。

災害と燃料電池自動車

今年は4月に熊本、6月に北海道、10月に鳥取、そして12月に茨城と、震度6クラスの大きな地震が相次ぎました。

その中でも特に熊本地震は電気・水道・ガスといったライフラインへの被害も甚大で、被災状況やその後の復旧状況が連日伝えられていました。

この出来事により、水素を製造するために水と電気の両方が健全であるという前提条件の下で成り立っていたFCVの「非常時にはクルマに蓄えた水素から電源を供給できる」という利点は、絵空事であることを露呈してしまいました。(水素はオフサイト式の水素ステーションから供給するから良いんだもーんなんて言うなら、ガソリンスタンドなり携行缶なりでPHEVに給油するほうがはるかに現実的だ。)

いやー、この出来事がFCVの普及前で本当に良かった。


EV業界のウォッチング・ログとして始めたEV Journalは今年4月のリニューアル以来、あんなメーカーからこんな研究所まで、様々な業界からアクセスや反響をいただき、EVに対する注目度の高さを実感する一年でした。

2017年もEV業界のトピックを独断と偏見で以って取り挙げていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。