【何を今さら】電気自動車は燃料電池車よりも経済的に排出ガスが削減できる

あらゆる観点から見て、電気自動車(EV)を選択した方が水素燃料電池自動車よりもクルマから排出される温室効果ガスを低コストで削減することが出来るという研究結果が明らかになった。これは、スタンフォード大学とミュンヘン工科大学が共同研究を行い、『Energy』誌に掲載されたもの。この研究によると、燃料電池車は走行に必要なエネルギーとその生産性を計算すると、電気自動車の2倍の電気エネルギーが必要だという。両者とも走行の際に排出ガスを出すことはないので、どちらも同じように環境にやさしいクルマである。だが、EVは水素を充填するよりも、より経済的に排出ガスを削減できるのだ。

アンチ燃料電池ってわけじゃないんだけど。

ネットが浸透した今日び「テールパイプから水しか出ないからエコだ」みたいな与太話(トヨタの話じゃないよ)を信じる人はほとんどいないと思う。

じゃあ「電気自動車と燃料電池車はどっちがエコなんだ」みたいな議論になると、前提条件や計算の仕方次第で数字はいくらでも変わってしまうのだ。

例えば、経産省が日本自動車研究所(JARI)の試算結果を公開しているが、火力発電由来の電力を使ってもEVとFCVのCO2排出量は同等、太陽光由来電力であればEVはFCVの14分の1ということで、今回の米国の研究結果よりもさらにEV優勢という結果になっている。

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実際のところ、こういった研究結果の数字の妥当性を個人が検証するのは至難の業なのだが、同様の検討をおこなった研究機関がどこもほぼ同様の傾向を示していることを考えると、どうもEVのほうがCO2排出量は少なそうだということは疑う余地は無さそうだ。


別の観点でEVとFCVを比較してみよう。

11月22日の東北地方の地震では大きな被害が起きなかったことは幸いだったが、4月の熊本地震の際はライフラインが激しく損害を受けた。

その復旧の状況を報道ベースで時系列にまとめると下の図のようになる。

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災害対策という観点において、水素を作るために「ガスを水蒸気で改質する」とか「水を電気分解する」とか、複数のインフラの「AND条件」で成立しなければならないシステムというのは、原理的にいかに脆弱なものであるか専門家でなくとも理解できるだろう。

これが自動車単独ではなくて、「水素ステーション網」という巨額のインフラ投資で社会を巻き添えにする可能性があるからますますタチが悪い。

欧米や中国のメーカーがEVに注力している理由がまさか災害対策を重視したものではないだろうが、化石燃料に恵まれず地震大国である日本こそ、次世代自動車かくあるべしという道筋をビシッと示すべきだと思うのだが。