VW、EVへのシフトで数万人削減も

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ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のブレッシング取締役(人事担当)は、電気自動車(EV)へのシフトで数万人を削減する可能性があると述べた。29日付の独紙フランクフルター・アルゲマイネが伝えた。

VWはディーゼル車の排ガス不正を機に、EVに軸足を移す方針を打ち出しているが、従来の燃焼式エンジンに比べ製造に必要な人員が少なくなることが理由という。同取締役は、強制解雇は否定した上で「今後数年で、全世界で5桁台」の人員削減があり得るとの認識を示した。

これこそが自動車業界がEVに転換することによる「痛み」であろう。

VWの連結従業員数は55万人、そのうち仮に全世界で1万人を削減したとすると1.8%の人員削減である。同じことをトヨタがやった場合(やらないと思うけど)、連結従業員数は38万人に対して全世界で6840人の削減である。比率は異なるが、人員の規模だけで考えればシャープや東芝には匹敵する大リストラである(やらないと思うけど)。

こういった電動化シフトにともなう自動車業界のリストラが国内でもし仮に起こるとすれば、主にエンジン関係の労働者が対象になるものと思われる。

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また、電機業界であれば能力のある労働者は内外の他メーカーに再就職するという道が残っていたが、自動車業界の場合は産業構造が内燃機関からEVに大きく転換する局面において他のメーカーがエンジン関係の労働者の受け皿となることは考えにくく、電機業界以上の社会的混乱が生じるものと予想される。

さらに、日本の自動車業界は完成車メーカーを頂点としていわゆるケイレツといわれる下請け企業群のピラミッド産業構造をなしている。したがって、日本のメーカーが同様の経営判断を下した場合は完成車メーカーの中の人のみならず、裾野に広がる関連業界にも雇用のインパクトが及ぶことが想像される。

そういうこともあって日本のメーカーはクルマの構造が単純なEVではなく、部品点数が多くて複雑怪奇なFCVを推すことで従来の産業構造や雇用を守り競争力を維持したいという思惑もあるのだろうけれど、痛みを先送りすることが果たして企業にとって・社会にとって本当に良いことなのか。

悩ましい問題である・・・。

 


それにしても、VWが「解雇はしないけど人員は削減する」って、どんな悪どいやり方をするのか気になるところだ。