トミーカイラZZに試乗したよ

10月のある晴れた日、東京のオートバックス東雲ベイでトミーカイラZZの試乗をさせていただきました。

試乗方法は?

申込方法はオートバックスのWEBサイトから、フォームに必要事項を記入するだけ。後日、担当者からメールで日時等の連絡が来ます。

ちなみに、タイムズレンタカー有楽町イトシア店ではレンタルも可能。


トミーカイラZZとは

161030_02

トミーカイラZZは、かつては90年代にトミタ夢工場から販売されていたクルマの後継車種である。

2003年にトミタ夢工場は倒産したが、その後トミーカイラブランドは京都大学発のベンチャー企業「GLM」に引き継がれ、2014年になんと量産EVとして蘇った(ちゃんと国内認可を取得している)。

世代によっては人気ゲーム「グランツーリスモ」シリーズに収録されていたことでその名を聞いたことがある人もいるだろうし、ゲームの中でしか見たことがないので架空のクルマだと思っている人もいるだろう。

車両の基本コンセプトは先代までのトミーカイラを継承しており、アルミ製のツインチューブモノコックフレームにFRPボディを被せただけのスパルタンな構成である。スペックは下のとおり。

全長(mm):3865
全幅(mm):1735
全高(mm):1140
ホイールベース(mm):2370
トレッド前(mm):1415
トレッド後(mm):1485
最低地上高(mm):120
最大出力 :225kW(305PS)
最大トルク:415Nm(42.3kgm)
バッテリー :Liバッテリー
トランスミッション:1速固定
ステアリング形式:ラックランドピニオン式
サスペンション形式:ダブルウィッシュボーン
重量(kg):850
乗車定員(名):2
価格(円):800万

どうですか?パワーウェイトレシオ2.79kg/PS。日産GT-R NISMO(2.87kg/PS)やホンダ新型NSX(3.51kg/PS)を上回るスペックですよ。国産車で勝てるのはレクサスLF-A(2.64kg/PS)ぐらい。

まさに21世紀の「公道を走れるEVレーシングカー」だ。

乗ってみた・見てみた

試乗車はコレです。オートバックスのワークスカラー!

img_3868

パワーユニットはリヤミッドシップに搭載されている。

写真は無いが、フロントフードを開けるとステアリング機構とフロントサス、ウィンドウォッシャータンク、12Vバッテリーなどが収められている。残念ながら荷物は乗らない。

img_3869

バッテリー冷却用のラジエーターはリヤに搭載されているので、リヤ側へのエアはサイドから取り込む。フロントの両側の開口部はブレーキの冷却。中央の開口部は空力目的?ダミー?よくわかりませんでした。

img_3871

テールライトはLED。ルーフは無くオプションで幌があるだけなので、リヤ側にも窓は無い。

img_3870

シートはフルバケットシート。ちょこっとだけ前後位置は調整できるが、当然ながらリクライニングはできない。

サイドシルが低く乗り込むときは「どっこいしょ」という感じだが、乗ってみると意外と広いという印象だ。

img_3875

インパネにはスイッチが3つ。左から、エマージェンシーストップボタン(万が一コンピューターがトラブった場合にシャットダウンできるらしい)、ハザードランプ、モード切替スイッチ(パーキング、リバース、ニュートラル、ドライブが選べる)。

ペダルはアクセルとブレーキのみ。足元にはアルミフレームが露出している。側面も黒い内張りを1枚隔ててアルミフレーム。衝突安全性は問題無いそう。試乗した日はうららかな秋晴れの日だったが、真冬や真夏はフレームから伝わる寒さ・暑さが厳しいのではないだろうか。

広告

img_3876

メーターは液晶パネルのフルデジタルで、アナログメーターは無い。

写真は無いが、外側にドアノブはなく、乗り込むときは外から内側のドアレバーを操作する。

「素グルマ」という言葉が頭をよぎる。


走行中の写真は無いので試乗インプレは文章のみ。

  • 外観
    めっちゃ目立つ。隣に並んだバスの乗客が物珍しそうに見下ろしてくる。
  • ステアリング
    いわゆる重ステ。キックバックやタイヤの反応など、路面からの情報をダイレクトに感じることができる。車重が軽いため据え切りでも思いのほか軽く、不快感は無い。
  • サス
    街乗りでの試乗だったが、ロールやピッチングによる乱れが少ない一方、マンホールを乗り上げたぐらいでも突き上げは無く挙動は乱れない。担当の方曰く、もともとトミタ夢工場がチューニングメーカーとして名を馳せたこともあり、トミーカイラZZにもそのノウハウが活かされているとのこと。
  • ブレーキ
    ABSなんぞ付いていないのは想像どおりだったが、ブースター無しには驚いた。慣れるまでコツが必要だが、如何せん踏力が必要なので乗り手を選ぶような気がする。
  • アクセル
    他のEVと同様に強烈な加速性能を誇る。0-100km/hは3.9秒であり、アクセルを「ドン」と踏むと体がバケットシートに押し付けられる。ただしトラクションコントロールなどは無く、転舵状態からアクセルを強く踏むとリヤが流れる(らしい)。回生制動は無くペダルを離すとコースティングする。
  • 走り
    フィーリングが全てダイレクトであり、スポーツバイクに乗っているような爽快感がある。いや、ヘルメットを被らないのでそれ以上かも。
    ただ、特にスピードコントロールについては少なくとも回生を効かせてEVならではのスポーツ走行を楽しめるようにしたほうが良いと思う。
  • サウンド
    走行中はモーターやインバーターの音が極めて静かで、風切音や周囲のクルマの騒音があると全くと言って良いほど聞こえない。GLMにはローランドと開発したEV用のサウンドシステムがあるが、今回の試乗車には搭載されていなかった。EV全般に言えることだが、そろそろエンターテイメントとしてドライバーに音を聞かせる工夫が欲しいところだ。
    またマスキングするノイズが無いため、相対的にFRPボディーが軋む「ガタピシ音」が少し気になる。
  • 充電
    CHAdeMO対応。充電時間は200V普通充電で8時間、80%急速充電で30分だ。航続距離は120km。
    この数字だけ見ると心細いことこの上ないが、このクルマのコンセプト上は何百kmも一度に走る人なんていないだろうし、EV業界全体の動向としても数年以内に解決する問題とみて良いだろう。 img_3877

 

GLMが日本EV界の台風の目に?

海外では自動車業界が大きくEV化に舵を切る中で、日本国内にも超小型EVや電動バイクなどのニッチメーカーがいくつかあり、その中でもGLMは「和製テスラ」の異名をもつ期待のベンチャー企業だ。

そのテスラはロータス・エリーゼの改造EVを「ロードスター」として開発・生産・販売することで自動車産業のノウハウを獲得し、また有名車種の看板を借りることでテスラの名を世に知らしめたという側面もある。

その後はプレミアムモデルのモデルS、近年人気の高級SUVのモデルX、そしてアーリーマジョリティ向けのモデル3、とステップを踏むことでEV業界の台風の目となっていることはご存知のとおりだ。

161030_03

翻ってGLMは9月のパリ・モーターショーでトミーカイラZZに次ぐモデルとしてG4という新型プレミアムEVのコンセプトカーを公開したが、テスラとGLMのラインアップと並べて見ると、

テスラ・ロードスター = トミーカイラZZ

テスラ・モデルS = G4

テスラ・モデルX = ?

テスラ・モデル3 = ?

・・・実際、ありそうなシナリオじゃない?

まとめ

トミーカイラZZはカーメーカーとして発展途上にあるGLMの実力を反映したものであり、大手メーカーのクルマと同じ品質基準でアラ探しをすればいくらでも出てくるだろう。しかし、これまで様々なEVを乗ってみたが、それぞれに個性がありひとつとして同じものは無かった。

GLMも然り。ベンチャー企業がよくここまでキャラの立った濃いクルマを作ったなと印象だ。よく「EVになるとクルマがどれも同じで面白くなくなる」などと言う人がいるが、それは単なる偏見であることを改めて確信した。

むしろ、こんな面白いクルマをベンチャー企業でも作れてしまうことを体験することができ、GLMひいてはEVの将来が楽しみになる試乗であった。